廃園になった遊園地と、それとともに廃線になった線路。線路の周辺は好き放題に伸びた木々で覆われてはいるものの、60〜70年にかけては東京近郊における一大テーマパークとして一端を担い、当時は家族連れでにぎわったであろう面影は、想像に容易い。83年に東京ディズニーランドが出来てからは、その衰退が運命的なものとなった。緩やかに死にゆくその遊園地は、近所に住むしがないサラリーマンが平日の昼間からビールを飲むのには最適であったように思う。それは遊園地としての体裁をとっていながらも、遊園地としての機能を担っていない、遊園地的な何かであった。僕が世界遺産や今は亡き何かに惹かれるのは、そんな遊園地的な何かに惹かれるからなのだろう。もちろん別に昼間からビールが飲みたいわけではない。

NHKのBShiで4,5年前にやっていた廃園になった遊園地(正確には思い出せないが推測はできる)に関するドキュメンタリー番組を不意に思い出した。やや太った40代の男が廃園になった遊園地や廃線をめぐっていた。緑の木々と、錆びついた観覧車、周縁に建つマンションが印象的だった。